京都市左京区北大路鴨川そばの路地にたたずむ大正15年創業の銭湯。
2022年に老朽化などにより休業しましたが、翌年に「ゆとなみ社」が継業し、改修工事を経て復活しました。
初めてのお客さんも入りやすいよう、番台をロビー式に変更しつつも、常連客から愛されている鴨川湯らしさを失わないよう、新旧のバランスにこだわりました。内外装には京都の廃業した銭湯などから集めた貴重なタイルや古材を使用しています。
味わいのある番台やロッカー、下駄箱も、新しいプランに合わせて使いやすいように一度バラバラにしてから組み替えたり、リサイズなどしました。
町家と銭湯のつながりは古く、戦前に建てられた庶民の町家には家風呂がありませんでした。それは京都の町じゅうにたくさんのお風呂屋さんがあったから。良質な井戸水を薪焚きで沸かした湯の気持ちよさは格別なんです。ピーク時には京都府内に約600軒あったといいますが、近年は利用者の減少や燃料の高騰で廃業される銭湯が後を絶ちません。
毎日の暮らしの中で誰かとひと時を共有する。そんな銭湯文化を次世代にも味わってほしいと、お風呂屋さんのリニューアル工事にも積極的に携わっています。